ウブド・モンキーフォレストで悲劇 ― 楽園バリ島で起きた予期せぬ倒木事故とは?
2025年1月9日午後2時ごろ、バリ島ウブドの人気観光地「モンキーフォレスト(Sacred Monkey Forest Sanctuary)」で、突然の倒木事故が発生し、観光に訪れていた韓国人女性1名とフランス人女性1名が死亡、さらに1名が重傷を負いました。現場は、緑豊かな自然と数百匹の野生ザルで知られる“癒しの聖域”。しかしこの日、平和な観光地が一瞬にして悲劇の現場へと変貌しました。
事故当時、バリ島は雨季真っ只中。激しい風雨が続いており、倒れた大木は高さ15メートル以上、遊歩道近くにあったため、多くの観光客が逃げ惑う混乱状態となりました。その瞬間を捉えた映像はSNSを通じて世界中に拡散され、多くの人々が衝撃を受けています。
観光と自然が共存するバリ島。その魅力の裏側には、自然の力がもたらす“予測不能なリスク”が潜んでいます。今回の事故は、安全だと信じていた観光地における盲点と課題を浮き彫りにしました。
本記事では、事故の詳細や背景に加え、モンキーフォレストの現状、そして観光客として知っておくべき安全対策について、現地の声や専門家の見解をもとに深掘りしていきます。
1: モンキーフォレストとはどんな場所?
1-1: モンキーフォレストの概要と魅力
バリ島ウブドの中心部に位置する「モンキーフォレスト(正式名称:Sacred Monkey Forest Sanctuary)」は、その名の通り、数百匹の野生の猿が自由に暮らす神聖な森です。約12.5ヘクタールの敷地には、300匹以上のカニクイザル(ロングテール・マカク)が生息し、観光客との距離が非常に近いことで知られています。
ただの“猿のいる観光地”ではありません。ここは、バリ・ヒンドゥー教の価値観を体現する自然、宗教、文化が融合した聖域であり、森の中には三つの古代寺院が今なお機能しており、地元住民が日々祈りを捧げています。
熱帯雨林の生い茂る小道を進むと、巨大なガジュマルの根が石像を包み込み、どこか異世界に迷い込んだかのような神秘的な景観が広がります。観光地でありながら、バリのスピリチュアルな側面に触れられる“生きた文化遺産”として、世界中の旅行者から高い人気を誇っています。
1-2: 観光地としてのモンキーフォレストの特徴
モンキーフォレストが多くの観光客を惹きつけてやまない理由は、そのユニークな体験要素にあります。
- 観光客との距離が近いサル観察
サルたちは人に慣れており、時には観光客の肩に乗ったり、荷物を物色しようとすることも。写真撮影のスポットとしても人気ですが、注意を怠るといたずらされることもあり、野生動物との“共存”を肌で感じられます。 - ジャングルのような自然環境
遊歩道沿いには熱帯の植物が生い茂り、渓谷や小川が静かに流れています。都市の喧騒とはかけ離れた“ジャングルリトリート”として、多くの人が癒しを求めて訪れます。 - 芸術と精神文化が融合したスポット
モンキーフォレスト内には、ヒンドゥー教の寺院だけでなく、精巧に彫られた石像やガーデンアートも点在しており、バリ島の伝統芸術に触れることができます。神聖な儀式が日常的に行われるため、ただの観光地ではなく、「文化的体験の場」としての側面も色濃く持ちます。
2: 倒木事故の詳細
2-1: 倒木事故の発生状況
2025年1月9日(木)午後2時ごろ(現地時間)、観光客で賑わうバリ島ウブドのモンキーフォレスト内で、大木が突然倒れ、近くを歩いていた旅行者を直撃しました。事故により、韓国人女性(42歳)とフランス人女性(32歳)が死亡。さらにもう一人の韓国人女性(40代)も重傷を負い、地元の病院に搬送されました。
当日はバリ島全域で雨季特有の大雨と強風に見舞われており、現地気象庁は強風警報を出していました。観光客の多くが傘を差しながら園内を歩いていた矢先、樹齢数十年とみられる巨大な樹木(推定高さ15メートル超)が、根元から音を立てて崩れるように倒れ、悲劇が起こりました。
事故が起きたのは、来場者が頻繁に行き交う主要な遊歩道付近で、当時その周辺には十数名の観光客が滞在していたと報告されています。地元警察と救急隊がただちに出動し、倒木の下敷きとなった被害者を救出。しかし、2名はその場で死亡が確認されました。
モンキーフォレスト側は直後に敷地全体を閉鎖し、関係者と共に調査を開始。事故現場周辺には規制線が張られ、立ち入りが一時禁止されました。
2-2: 事故の原因と自然要因
現地メディアや森林管理当局の発表によると、倒木の直接的な原因は「大雨による地盤の緩み」と「強風による圧力」の複合的な影響とされています。モンキーフォレストの樹木は、多くが熱帯性の大樹で、根が浅く広がる構造を持つため、雨季の長雨で土壌が緩んだ状態では転倒しやすくなります。
倒れた木について、運営側は「事前に病害虫などの兆候はなく、一見して健全に見えた」と説明。しかし、専門家からは「雨季に入る前の危険木調査や、樹木の傾斜・根張りに関する診断が不十分だった可能性がある」との指摘も出ています。
また、事故当日は観光客が多く、園内スタッフによる安全誘導も難しかったとみられています。「自然との共存」を重視するモンキーフォレストの方針が、結果的に“リスク管理の甘さ”を招いたのではという声も、観光関係者の間で囁かれています。
2-3: SNSで拡散された瞬間
この事故の衝撃を広く世に知らしめたのは、観光客の1人が撮影していたスマートフォン映像でした。園内を歩く数名の観光客の背後で、突如「ミシミシ…」という不穏な音とともに大木がゆっくり傾き、そして一気に地面へ崩れ落ちる瞬間。叫び声が上がり、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑う姿が克明に記録されていました。
この映像は事故の数時間後にSNS上に投稿され、瞬く間に拡散。各国のニュースメディアでも取り上げられ、「楽園バリで何が起きたのか?」という問いがインターネット上に溢れました。
中には
「旅行先でここまでの災害に遭うとは想像できなかった」
「自然の中にある観光地であることを軽く考えていた」
といった、旅行者からの警鐘とも取れるコメントも多数見られました。
この一件は、観光地における“風景の裏にある危機”を改めて浮き彫りにし、「自然を楽しむためには、自然を恐れる意識も持つべきだ」という教訓を世界に投げかける出来事となったのです。
3: 倒木事故による影響
3-1: 観光客の安全リスク
今回の倒木事故は、「バリ島=安全な南国リゾート」というイメージに大きな揺さぶりをかけました。多くの観光客にとって、ジャングルや森林エリアの散策はリラックスと癒やしを求める旅の一環ですが、実際には熱帯地域特有の自然災害リスクが常に潜んでいます。
特に雨季(11月〜3月)は、急な強風や落雷、地盤の緩みによる倒木・土砂崩れが発生しやすい季節です。今回の事故は、そうした気象変動の影響が観光地のインフラや運営管理を超える規模になっているという現実を突きつけました。
「観光地だから安全」という思い込みを捨て、自然に対するリスク意識を持つことが、今後ますます重要になります。
3-2: モンキーフォレストの対応と閉鎖
事故の発生を受け、モンキーフォレストは即座に園内の一般開放を一時的に全面閉鎖。事故現場周辺には立ち入り禁止区域が設けられ、安全確認が完了するまで観光客の入場が制限されました。
運営団体の発表によれば、倒れた木に明らかな病気や劣化の兆候は見られず、「外見上は健康状態にあった」とのこと。しかし、気象条件が重なったことで、予測不能な倒木に至ったと説明しています。
今後の再発防止策として、園内のすべての樹木に対して緊急の点検とリスク評価を実施するほか、雨季期間中の気象監視体制や来場者への注意喚起の強化が表明されました。事故を教訓に、森林観光のあり方そのものが見直される可能性があります。
3-3: 自然管理と観光政策の課題
事故後、現地のメディアや森林保全の専門家からは、モンキーフォレスト側の自然管理体制に対して厳しい指摘が相次ぎました。
「雨季前に危険木の診断や伐採が十分だったのか?」「予防的な閉鎖や人数制限は検討されたのか?」といった疑問の声が上がり、観光施設としての責任と自然環境保護とのバランスが改めて問われています。
特にバリ島のように“自然体験”が観光資源の中心となっている地域では、収益重視だけではなく、安全性や持続可能性の視点からの政策設計が求められる時代に突入しています。
4: バリ島における自然災害の現状
4-1: バリ島の気候と災害の傾向
バリ島の気候は典型的な熱帯モンスーン型で、11月から3月にかけてが雨季にあたります。この期間はスコールや長雨、強風が頻発し、自然災害のリスクが一年で最も高まる時期です。
近年では地球温暖化やエルニーニョ現象の影響により、雨量や風速の変動幅が大きくなっており、突発的な土砂崩れ、倒木、洪水の発生件数が増加傾向にあります。今回の事故も、そうした“気候変動による災害リスクの増大”と無関係ではありません。
観光客にとっては見えづらい側面ですが、バリ島における自然災害は日常の一部として常に存在しているのです。
4-2: 過去の類似事故と教訓
モンキーフォレストでの事故以前にも、バリ島内では観光地や登山ルートでの落石、倒木、滑落事故が断続的に発生しています。特に雨季や風の強い日は山間部や森林エリアでの事故が報告されることがありながらも、それらの情報が十分に観光客に共有されてこなかったという課題が残ります。
「風景の美しさ」ばかりが強調され、安全リスクに関する透明性が欠如している――これは観光政策全体に共通する構造的な問題でもあります。
今回の事故はその流れを見直す“転換点”となるかもしれません。今後は、「危険を正しく伝える情報発信」が、観光における信頼性を高める鍵となるでしょう。
4-3: 地域社会の取り組み
一方で、地域レベルではすでにいくつかの取り組みが始まっています。たとえばウブド郊外の一部村落では、雨季中に限って観光ルートの立ち入りを制限したり、「自然観察ガイド」を同行必須とする取り組みが試験的に導入されています。
また、SNSやローカルメディアを活用した気象警報の共有や、村人による森林の巡回点検といった草の根の安全対策も進められています。こうした地域社会の努力は、自然と観光の両立を目指すモデルケースとなりつつあります。
観光を「商品」ではなく「共有される体験」と捉えたとき、安全への配慮は単なる補足情報ではなく、旅行者との信頼を築く“中核的要素”であるといえるでしょう。
5: 観光客が知っておくべきこと
――「自然との共存」を楽しむための安全意識――
モンキーフォレストをはじめ、自然豊かな観光地を訪れる際には、風景の美しさと同時に「自然の力」に対する正しい理解と備えが求められます。バリ島を安全に楽しむために、観光客が知っておきたい基本的な注意点を紹介します。
5-1: モンキーフォレスト訪問前の安全対策
バリ島の雨季(11月〜3月)は、天候の変化が激しく、突発的な強風や豪雨に見舞われることがあります。訪問前には以下のような安全対策を心がけましょう。
- 天気予報の確認は必須
滞在中は毎朝天気予報をチェックし、大雨や強風が予想される日は無理に外出しないことが安全の第一歩です。 - 園内スタッフの指示に従う
モンキーフォレストでは安全を守るためにスタッフが巡回しています。「この先立ち入り禁止」といった案内には必ず従いましょう。 - 危険区域には近づかない
樹木が密集し、足元が滑りやすい場所や、傾斜があるエリアでは、倒木や落石のリスクが高くなります。写真を撮るために立ち入り禁止区域へ入る行為は非常に危険です。
5-2: 自然災害発生時の行動指針
万が一、園内や滞在先で自然災害が発生した場合には、冷静かつ迅速な対応が求められます。
- 異変を感じたらすぐに避難
強風の音や木のきしむ音が聞こえた場合は、すぐに開けた場所へ移動し、頭上の安全を確保しましょう。 - 情報収集に観光アプリを活用
バリ島では気象情報や災害警報がアプリやSNSを通じて配信されています。インドネシア政府の「BMKG」アプリや、旅行用の天気アプリをインストールしておくと安心です。 - 緊急時は大使館や観光局へ
被害に巻き込まれた、または目撃した場合には、宿泊施設のフロント、在インドネシア各国大使館、またはバリ観光局に連絡しましょう。通訳支援や安否確認を行ってくれます。
5-3: 安心して旅行するために
自然の中で過ごす時間をもっと安心して楽しむために、事前の準備も重要です。
- 旅行保険には必ず加入を
医療費や事故補償の面で、保険未加入では高額な費用が発生する可能性があります。自然災害による負傷やキャンセルにも対応する保険を選びましょう。 - 連絡手段を確保しておく
電波が届かない場所でも使えるよう、Wi-FiルーターやSIMカード、モバイルバッテリーなどを携帯し、万が一の際にはすぐに家族や関係機関に連絡が取れる状態を保ちましょう。 - 自然との共存意識を忘れずに
バリ島の森や山は、人間のために「作られた」わけではありません。動物も木々も、そこに“生きて”います。観光とは、そうした自然の世界に「お邪魔する」という意識で臨むことが、旅の安全と満足度を高めてくれるのです。
◆ 最後に
モンキーフォレストの倒木事故は、決して「他人事」ではありません。美しい風景の裏には、自然ならではの力とリスクが潜んでいます。しかし、正しい知識と準備をもって向き合えば、その旅はより深く、豊かで、記憶に残るものになるでしょう。
次にあなたがバリ島を訪れるとき、どうか「自然を感じる」だけでなく、「自然を尊重する」旅を心がけてください。

このたびのモンキーフォレストにおける倒木事故により、尊い命が失われたことに対し、深い悲しみを禁じ得ません。
亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、残されたご家族、ご親族、ご友人、そして関係者の皆様に、心からのお悔やみを申し上げます。
旅先での突然の出来事に、ご遺族の皆様がどれほどの衝撃と深い悲しみに包まれておられるか、言葉では言い尽くせません。一日も早く心の平穏が訪れますよう、また、負傷された方のご快復を心よりお祈り申し上げます。
どうかこの痛ましい事故が、自然の中での安全と共存について考えるきっかけとなり、今後同様の悲劇が繰り返されることのないよう、世界中の人々の意識と行動が変わっていくことを願ってやみません。
謹んで、哀悼の意を表します。

最後まで読んでくれてありがとう。
次の記事でお会いしましょう。
またねー。💛
バリ島で犯罪や事故に遭った時の緊急連絡先👇
連絡先 | 電話番号 |
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警察 | 110 |
救急車 | 119 |
消防車 | 113 |
在デンパサール日本国総領事館 | +62-361-227628(インドネシア国外から) 0361-227628(インドネシア国内から) |
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