「えっ、バリ島で日本人ダイバーが事故!?」——そんなニュースを見て、びっくりした方も多いはず。しかも亡くなったのは、73歳で200回以上のダイビング経験を持つベテランの方。海に慣れていても、器材のトラブルひとつで命の危険にさらされることがあるんです。
「自分は大丈夫」と思っていませんか? でも今回の事故は、経験豊富なダイバーにも起こり得る“海の怖さ”をあらためて教えてくれます。この記事では、2024年5月にバリ島南部のサヌール沖で起きた邦人ダイバー死亡事故の経緯と、同じような悲劇を防ぐために知っておきたい安全対策をまとめました。
事故概要|2024年5月29日に発生した悲劇
被害者は74歳の日本人男性・アビコ ナオキさん
2024年5月29日、インドネシア・バリ島南部の海で、74歳の日本人男性ダイバー アビコ・ナオキさん が潜水中に意識を失い、搬送先の病院で死亡が確認されました。現地警察がこの事実を発表したのは6月1日。
アビコさんは妻や友人と一緒にサヌール沖でダイビングを楽しんでいた最中、水中で器材の不具合を訴え、海面に戻る途中で意識を喪失したとされています。
200回以上のダイビング経験を持つベテラン
事故の報道で驚かされたのは、アビコさんが200回以上の潜水経験を持つベテランだったことです。さらに、深い潜水が可能な上級ライセンスも所持しており、普段からダイビングを安全に楽しむための知識やスキルを備えていました。
それでも、わずかな器材トラブルが命に関わる事態に発展したという点は、経験の有無にかかわらず全てのダイバーにとって大きな警鐘となります。
事故当日の状況と経緯
妻・友人とともに潜水
事故が起きたのは、観光客にも人気の高いバリ島南部・サヌール沖。アビコさんはこの日、妻と友人と一緒にボートで沖合へ向かい、午前中にダイビングを開始しました。海況は比較的穏やかで、周囲には他のダイビンググループもいたとされています。
水深20メートルで器材不具合を訴える
潜水を始めて間もなく、アビコさんは水深およそ20メートル地点で器材の不具合をインストラクターや同行者に伝えました。具体的なトラブル内容は報道されていませんが、呼吸や浮力調整に関わる重要な器材の異常だった可能性も指摘されています。インストラクターは自身の器材と交換し、浮上を試みたといいます。
浮上途中に意識を喪失し、病院で死亡確認
器材を交換した後、アビコさんは浮上を開始しましたが、途中で意識を失い、そのまま水面へ引き上げられました。すぐにボートで岸へ搬送され、現地の医療機関へ運ばれましたが、病院で死亡が確認されました。現地警察は事故原因について調査を続けていますが、2024年6月初旬以降、新たな公式発表は出ていません。
事故が起きた場所と海況
バリ島南部・サヌール沖
今回の事故現場となったのは、バリ島南部に位置するサヌール沖。観光客やダイバーに人気のスポットで、リゾートホテルや白い砂浜が広がる穏やかなエリアです。サヌールの海は比較的浅瀬が続き、ボートで少し沖に出ればカラフルなサンゴや熱帯魚が見られるため、初心者からベテランまで幅広く楽しまれています。
事故当日は、現地報道によると波や風は強くなく、視界も悪くない比較的良好なコンディションだったといわれています。
比較的穏やかな海域でも潜むリスク
「穏やかな海だから安全」とは限らないのが、ダイビングの難しさです。サヌール沖のような穏やかなエリアでも、
- 予期せぬ潮流の変化
- 器材トラブル
- 急な体調の変化
- 浮上時の減圧リスク
といった危険要因は常に存在します。
特に水深20メートル付近になると、海面からの距離は思った以上に遠く、トラブルが起きても数分で解決できるとは限りません。今回の事故は、そうした「見た目の穏やかさ」に隠れたリスクをあらためて浮き彫りにしました。
器材トラブルの可能性と考えられる原因
報道によると、事故当時アビコ・ナオキさん(73歳)は、水深約20メートルで約30分間潜っている最中に、器材の不具合をインストラクターらに訴えていたとのことです。そのため、考えられる原因として以下のような器材トラブルが想定されます:
1. 空気供給(レギュレーターなど)の不具合
- インストラクターの器材と交換したという報道もあるため、本命として考えられるのは、レギュレーター(呼吸器)やホース、シリンダーに関連する空気系のトラブルです。
- たとえば、以下のような不具合が該当する可能性があります:
- シリンダーの空気漏れ
- ホースの破損
- レギュレーター自体の故障
2. マスクの破損(視界の喪失)
- 続報ではありませんが、同様のケースで見られたのが、マスクの破損による視界遮断です。マスクが外れたり破損すると、視界の喪失だけでなく、呼吸にも支障が出て溺れる恐れがあります。
3. 体調の急変
- 高齢であることや激しい深度変化により、循環器・呼吸器への負担やバリの気候が影響した可能性も示唆されています。
器材トラブルが起こった可能性のある主な経緯(考察)
想定される原因 | 内容 |
---|---|
空気系のトラブル | レギュレーター・ホース・シリンダーの不具合。インストラクターの器材と交換して様子を見た可能性あり。 |
マスクの破損 | 視界の喪失による混乱・溺れ。報道には明記されていないが、類似ケースでは発生している。 |
高齢ゆえの体調変化 | 潜水のストレスや気候が体力に影響した可能性あり。 |
注意点と安全対策のヒント
- 器材の点検と整備:レンタル機材の場合は特に、使用前のチェックを入念に。
- バディシステムの徹底:トラブル時には空気供給を共有できるよう、バディやインストラクターとの連携を強化。
- 自己の体調変化への備え:高齢ダイバーやブランクのある方は、事前の健康チェックと慎重な計画が重要。
現地警察による調査の進捗
6月1日の公式発表
インドネシア・バリ島の現地警察は、2024年6月1日に日本人男性ダイバーの死亡事故について公式発表を行いました。事故は5月29日にサヌール沖で発生し、器材の不具合を訴えた後に意識を失い、その後病院で死亡が確認されたと報告しています。現在、警察は事故の詳しい経緯や原因について引き続き調査を進めているとされています。
その後の続報はなし
しかし、6月初旬以降、事故に関する新たな報道や公式発表は見られていません。調査の進捗や事故原因の特定、関係者のコメントなども現時点では公表されておらず、続報が待たれる状況です。
安全なダイビングのための注意点
器材点検の重要性
ダイビング器材は命を守る重要な装備ですが、使用前の点検が不十分だとトラブルを招きやすくなります。特にレンタル器材を使う場合は、目視や実際の動作確認を入念に行い、異常があればすぐにスタッフに伝えることが大切です。自分の体格や潜水スタイルに合った器材を使うことも安全につながります。
インストラクターやバディとの事前確認
潜る前には必ずインストラクターやバディと器材の状態や緊急時の合図、浮上手順などを確認しましょう。お互いの役割や連携を確認しておくことで、トラブル発生時にも迅速に対応できます。特に海外でのダイビングでは言語や文化の違いもあるため、コミュニケーションをしっかり取ることが重要です。
年齢や体調に応じた潜水計画
年齢や体調は潜水の安全に大きく影響します。高齢者や持病がある方は、医師の診断を受けたうえで無理のないプランを立てましょう。潜水時間や深度を控えめに設定し、疲労やストレスがかからないよう配慮することが必要です。また、体調不良や疲労を感じた場合は、すぐに潜水を中止する判断も大切です。
まとめ|経験者でも油断できない海の危険
今回のバリ島沖での悲しい事故は、200回以上の経験を持つベテランダイバーであっても、海の危険から完全に逃れられないことを改めて教えてくれました。ダイビングは美しい自然を楽しむ素晴らしいアクティビティですが、器材トラブルや体調の変化、そして予期せぬ海の状況によって、誰にでも危険は訪れる可能性があります。
だからこそ、どんなに経験があっても、日々の器材点検やバディとのコミュニケーション、そして自身の健康状態の把握を怠らないことが大切です。特に年齢を重ねたダイバーは、無理のない計画と慎重な判断を心がけましょう。
海は美しく魅力的ですが、その分、油断は禁物。今回の事故を教訓に、全てのダイバーが安全に楽しいダイビングを続けられることを願っています。
バリ島周辺の主なダイビングスポット
スポット名 | 場所 | 特徴・見どころ | 難易度 | おすすめポイント |
---|---|---|---|---|
ヌサペニダ:クリスタルベイ | ペニダ島西部 | 透き通る青い海、マンタや大物に出会える | 中〜上級 | マンタレイのクリーニングステーション |
ヌサペニダ:マンタポイント | ペニダ島北西部 | マンタが多く集まるスポット | 中級 | 安定したマンタ遭遇率 |
ヌサレンボンガン:サンゴガーデン | レンボンガン島周辺 | 美しいサンゴ礁と多彩な熱帯魚 | 初心者〜中級 | 穏やかな海でゆったりダイビング可能 |
ヌサレンボンガン:ブルーコーナー | レンボンガン島周辺 | ドリフトダイビング、回遊魚が多い | 上級者向け | 流れが速いので経験者向き |
サヌール:サヌールリーフ | バリ島南部 | 穏やかなリーフダイブ、カラフルな魚とサンゴ | 初心者〜中級 | アクセス良好で初心者にもおすすめ |
パダンバイ:ブルーラグーン | バリ島東部 | 穏やかな海況、豊富な魚種 | 初心者〜中級 | ファミリーダイビングに適している |
アメッド | バリ島北東部 | リーフダイブ、沈船ポイントもあり | 初心者〜中級 | のんびりとした環境 |
トランベン:USATリバティ | バリ島北東部 | 第二次世界大戦の沈船、マクロ生物豊富 | 中級〜上級 | 沈船ダイビングの人気スポット |
クサンバ | バリ島東部北岸 | サンゴが豊富で魚影も濃い | 初心者〜中級 | 穏やかなリーフエリア |

このたびのアビコ・ナオキ様のご逝去に際し、心よりお悔やみ申し上げます。長年にわたりダイビングを愛し、豊かな経験を積まれた中での突然の悲報に、深い悲しみを感じております。ご家族、ご友人の皆さまのご心痛はいかばかりかとお察しいたします。どうか故人のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆さまに平穏が訪れますようお祈り申し上げます。
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