世界で進む観光税導入:オーバーツーリズム対策はどこまで進んでいる?
日本・バリ島・欧米の最新事例を紹介
「え?旅行に行くのに、また税金がかかるの?」
「観光税って、どこに払うの?どうして必要なの?」
最近、旅行好きな方なら、こんな疑問を耳にすることが増えたかもしれません。
実は今、世界中の観光地で“観光税”の導入が進んでいるんです。
バリ島では2024年2月から新しい観光税がスタート。
ヨーロッパではすでに多くの国でホテルに泊まるだけで観光税が上乗せされるのが当たり前になっています。
日本でも「国際観光旅客税」という出国時にかかる税金があるほか、沖縄県などでは独自の観光税導入も検討されています。
なんだか、旅行がどんどんハードル高くなりそう…って感じる人もいますよね。
でも実は、これらの観光税は“観光地を守るため”に必要とされているものでもあるんです。
オーバーツーリズム(観光公害)で困っている地域では、観光税を集めて環境対策や文化財保護、インフラ整備に充てる動きが広がっています。
つまり、観光税=ただの負担ではなく、未来の旅を守るための“協力金”的な役割も担っているんですね。
この記事では、
- そもそも観光税ってどんな仕組み?
- 世界の最新導入例(バリ島、欧州、日本など)
- 私たち観光客が知っておくべきこと
を、なるべく分かりやすく、やさしい目線でまとめていきます。
次の旅先で「え、知らなかった!」と慌てないためにも、ぜひチェックしておいてくださいね。
- 【1】観光税とは?その役割と仕組み
- 【2】世界の観光税導入国・地域一覧(2024年時点)
- 【3】インドネシア・バリ島の観光税(2024年最新)
- 【4】日本の観光税の現状と今後
- 【5】観光税の未来:賛否と今後の課題
- まとめ
【1】観光税とは?その役割と仕組み
観光税ってどんなもの?
「観光税」と聞くと、なんだか難しそう…でも、実はシンプルです。
観光税は、観光で訪れる人からちょっとしたお金を集めて、その地域をより良く保つために使う“協力金”的なもの。
例えば、
- 宿泊するたびにかかる「宿泊税」
- 入島・入場時にかかる「入域税」
- 出国時にかかる「出国税」
など、いろんなパターンがあります。
支払い方法も、ホテルでチェックイン時に払う、航空券に含まれる、観光地で入場時に払うなど、地域によってさまざま。
最近では、バリ島のように空港で観光税カウンターがあって、そこで払うケースもあります。
観光税が注目されるワケ


毎年12月に入ると潮の流れの影響でクタ・レギアンビーチにプラスチックごみが漂着して、ビーチの大清掃が始まるよ。悲しい現実だよ!
なぜ今、世界中で観光税の導入が進んでいるのか?
その背景には「オーバーツーリズム」と呼ばれる問題があります。
人気の観光地に人が集中しすぎることで、
- ゴミ問題
- 交通渋滞
- 環境破壊
- 地元住民とのトラブル
などが深刻化。
これを放置すると、観光客が来れば来るほど地域が疲弊し、最悪「もう観光お断り!」なんて事態にも…。
だからこそ、観光税を集めて、
- 環境対策
- 文化財の保護
- 観光客向けのインフラ整備(トイレ、ゴミ箱、道路など)
- 地域住民との共存ルール作り
に使うことで、観光地と観光客の“いい関係”を続ける狙いがあるんです。
観光税の期待される効果
観光税があることで、次のような効果が期待されています。
- 旅行者ひとりひとりが少しずつ地域に貢献できる
- 観光地の維持管理や清掃、保護活動の資金になる
- 安心して楽しめる環境が整う(安全面やトラブル対応も含む)
- 観光客のマナー向上につながる(税金を払うことで意識が変わるという声も)
「知らず知らずのうちに観光地を壊していた…」なんて悲しい結果を防ぐためにも、観光税は“未来への投資”とも言えるんですね。
でも課題もある…
もちろん、観光税はいいことばかりではありません。
課題もたくさん。
- 料金の透明性(何に使われるか分かりづらい)
- 観光客への説明不足(知らずに払って不満を抱くケースも)
- 「税金が高いなら行くのやめよう」となる懸念(特に物価高の今はシビア)
- 適切な運用がされないと、単なる“取りっぱなし”になってしまう恐れ
つまり、観光税は「集め方」と「使い道」の透明性がカギなんです。
旅行者が「なるほど、これなら納得して払える」と思える仕組みづくりが大事、ということですね。
【2】世界の観光税導入国・地域一覧(2024年時点)
「観光税って、実際どこの国で導入されてるの?」
そんな疑問を持っている方も多いはず。
実は、観光税ってヨーロッパはもちろん、アジアやアメリカなど、かなり広く導入が進んでいます。
ヨーロッパ主要国:観光税は“当たり前”
ヨーロッパは、実は観光税先進エリア。
都市ごとに導入しているところも多く、旅行のたびに「え、また観光税?」と感じることも(笑)
スペイン
- バルセロナでは宿泊税が導入済み。
- 2024年にはさらに“都市特別税”が追加され、中心地滞在はちょっと割高に。
- 観光客過多の抑制が狙い。
フランス
- パリなど多くの都市で宿泊税あり。
- 料金はホテルランクや地域によって違うけど、ラグジュアリーホテルだと1泊数ユーロ取られることも。
イタリア
- ローマやフィレンツェ、ヴェネツィアなど、主要観光地ではほぼ宿泊税がデフォルト。
- ヴェネツィアは2024年から「日帰り観光客」も有料化(これ、世界でも話題になりました)。
ポイント
ヨーロッパでは「文化財保護」や「地元住民の暮らし守る」がメインテーマ。
つまり、観光税は旅行代金の一部と割り切って払うのが普通になりつつあります。
アメリカ:宿泊税はもはや常識
アメリカは日本よりかなり前から「宿泊税」がしっかり導入されています。
都市ごとに税率が違うので、思ったより高くつくことも。
- ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどでは宿泊税+州税などが合算され、総額20%近くなることも。
- リゾート地では「観光促進税」や「環境保全税」をプラスするエリアも増加。
ポイント
アメリカは「観光税が高すぎ問題」で時々旅行者の間で炎上することも…。
でも、施設維持や治安対策の資金源になってるんですね。
ブータン:高額ツーリズムモデルの代表格
- 1日200ドルの「持続可能な開発料金(SDF)」を課す超ハイレベルな観光税国家。
- 少人数・高価格・高品質を徹底し、観光客の数をあえて制限。
- 「ブータンに行く=地球環境への投資」という意識の人が多い。
ポイント
世界中の国が「ブータン方式を真似できるか?」と言われるけど、現実にはなかなか難しい…。
その他の国や地域
- マレーシア:宿泊税
- タイ:2024年から空路300バーツ、陸路150バーツの観光税を導入予定
- インドネシア(バリ島):2024年2月から外国人観光税導入(15万ルピア)
EU渡航情報認証制度(ETIAS):2025年導入予定
そして、忘れてはいけないのがETIAS(エティアス)。
2025年からEU圏に渡航する日本人を含むビザ免除国の人は、事前オンライン登録&手数料7ユーロが必須になります。
これは正確には観光税ではなく、EU版ESTAみたいなもの。
安全対策&渡航者データ管理が目的だけど、実質的には「EUに行く時の追加コスト」と感じる人も多そうです。
世界では観光税=もはや当たり前になりつつある。
特にヨーロッパやアメリカ、アジアの人気観光地では「観光客のマナーアップ」「環境保全」「混雑緩和」を目的に、どんどん導入ラッシュ。
日本もいずれ「もっと広がるかも?」と思っておくと、旅行計画もスムーズですよ。
【3】インドネシア・バリ島の観光税(2024年最新)
2024年2月、ついにスタートしたバリ島観光税
バリ島って、なんとなく「自由でのんびり、コスパ最高!」なイメージありますよね?
でも2024年2月、ついに外国人向け観光税(観光徴収料)が導入されました。
なんで今さら?
その背景には、増えすぎた観光客による“環境負荷”や“文化破壊”への危機感があります。
近年のバリ島は「オーバーツーリズム」状態で、ゴミ問題や交通渋滞、ビーチの劣化、神聖な寺院でのマナー違反も目立つように…。
このままだと「バリ島の美しさが失われる」という危機感から、政府は本腰を入れました。
ポイント
- 2024年2月14日バレンタインデーにスタート(ちょっと意外?)
- インドネシアでは初の地域限定観光税(国全体ではなくバリ州のみ)
観光税の金額・対象・支払い方法
では具体的にどんな仕組みなのか?
項目 | 内容 |
---|---|
金額 | 15万ルピア(約1,500円) |
対象 | インドネシア国外からの外国人旅行者(ビザ種別問わず) |
支払い方法 | – 事前オンライン決済(Love Bali公式サイト・アプリ) – デンパサール空港着時のカウンターでも支払い可 |
注意点
- 1回の入島につき1回払えばOK(何泊でも追加徴収はなし)
- ただし、現地で島から出ずに再入場する場合は免除
支払いは基本オンライン推奨。
空港の窓口は混雑する可能性があるので、スマホで済ませておくとスムーズです。
観光税の使い道:文化と環境の保護へ
「払ったお金、どこに行くの?」
これ、誰もが気になりますよね。
バリ島観光税の使い道は、公式に以下のように決まっています。
- 伝統文化の保全(寺院や伝統舞踊などの保護活動)
- 環境保全(海洋ゴミ対策、リサイクル推進、植林など)
- 観光インフラ整備(トイレ、駐車場、公共交通整備)
つまり、観光税=バリ島の未来のための“応援投資”みたいなもの。
旅行者も「ちょっと払って、より良いバリを楽しめる」なら、前向きに捉えるのもありかもですね。
地元の声と観光客への影響
地元住民の声
- ポジティブ派:「観光の恩恵を受けてるんだから当然」「環境改善に期待」
- ネガティブ派:「外国人が減るかも」「地元ビジネスへの打撃が心配」
特にローカルの飲食店や中小ホテルでは「観光客減少リスク」に敏感になってる様子。
ただし、“安さだけのバリ島”から脱却したいという声も増えているのが事実。
観光客のリアル反応
- 「思ったより安い」「他の国も取ってるし、まぁいいかな」
- 「空港で払うの面倒」「事前決済がわかりづらい」
- 「透明性に疑問…本当に文化保護に使ってる?」
ポイント
旅行者の反応は「仕方ない」派が多数だけど、手続きが煩雑だとイライラの原因にもなるというのが現状。
事前に公式サイトで済ませておくのが旅上手のコツです。
2024年から「バリ島行くなら観光税」がニューノーマルに。
額的にはそこまで大きな負担じゃないけど、ちゃんと手続き方法を知っておかないと、空港でモタモタしてしまうので注意。
旅行者としては「未来のバリ島のため」と思って、気持ちよく支払いして、最高のバリ島体験を楽しんでくださいね。
🇯🇵【4】日本の観光税の現状と今後
✈️ 国際観光旅客税(出国税)とは?
2019年1月、日本政府は「国際観光旅客税」を導入しました。これは、日本から出国するすべての旅行者(外国人・日本人問わず)に対し、1回の出国につき1,000円を課す税金です。航空券や船舶のチケット代金に上乗せされ、自動的に徴収されます。
使い道は?
徴収された税金は、観光資源の整備や出入国手続きの円滑化、観光地の多言語対応など、訪日外国人旅行者の受け入れ環境の向上を目的とした施策に充てられています。観光ONE
最近の動向は?
2023年度の国際観光旅客税の税収は、前年度の約3倍となる400億円規模となる見通しです。 wave.or.jp
🏝️ 沖縄県が検討する独自の観光税(宿泊税)
沖縄県では、2026年度の導入を目指して、独自の観光税(宿泊税)の導入を検討しています。これは、観光客の増加によるインフラへの負担や環境への影響を軽減し、持続可能な観光を実現するための新たな財源確保を目的としています。
検討されている内容は?
- 税率:宿泊料金の2%(上限額2,000円)を想定
- 対象:県内の宿泊施設を利用する旅行者(県民も含む)
- 離島住民への配慮:離島住民には一律200円の割引を検討 沖縄タイムス
課題と今後の見通しは?
県民への課税に対する反発や、宿泊施設側の業務負担増への懸念など、導入に向けた課題も多く、県議会への条例案提出が見送られるなど、調整が続いています。 琉球新報デジタル
日本では、国としての「国際観光旅客税」が既に導入され、観光インフラの整備や訪日外国人旅行者の受け入れ環境の向上に活用されています。一方、沖縄県では、地域独自の課題に対応するための宿泊税の導入が検討されていますが、課題も多く、今後の動向が注目されます。
観光税は、持続可能な観光を実現するための重要な手段の一つです。旅行者としても、その目的や使い道を理解し、協力する姿勢が求められています。
🌏【5】観光税の未来:賛否と今後の課題
観光税が世界中で導入されるなか、「これって本当に必要なの?」と感じる人もいれば、「むしろもっと早く導入すべきだった!」という人もいます。
税金と聞くとちょっと身構えちゃいますよね。でも、観光税は単なるお金の徴収だけではなく、観光地との新しい関係づくりの第一歩とも言われています。
ここでは、観光税の賛否、地域経済や旅行者心理への影響、そして観光地と共存する未来の可能性について、わかりやすくお話しします。
💰 賛否が分かれる観光税
賛成派の意見
- 観光地の環境保護や文化遺産の維持費に充てられるなら歓迎
- オーバーツーリズムで苦しむ住民の生活環境改善に繋がる
- 資金がしっかり活用されるなら納得できる
反対派の意見
- 旅行コストが上がることで旅行自体を控える人も出る
- 税金が本当に適切に使われているのか不透明
- 観光客離れによる地域経済への悪影響を心配
こうして見ると、観光税は「誰のために、どこに使われるのか」が明確でないと反発も生まれやすいですね。
🏨 地域経済への影響はどうなる?
観光税が導入されると、一時的には旅行者数が減少することもあります。実際、ブータンのように高額な観光税を設定している国では、「少数の高付加価値観光」を狙う方向にシフトしました。
一方、スペインやフランスでは、観光税導入後も旅行者数は大きく減っていません。むしろ、より環境に配慮する高品質な観光地としての価値が高まった事例も。
■ ポイント
- 安さ重視の旅行者は離れる可能性あり
- 「観光地の質」を重視する層にはプラス効果も期待
- 地元経済とどうバランスを取るかが鍵
💭 旅行者心理の変化
最近の旅行者は、単に「安さ」だけではなく、「その土地を応援したい」「環境負荷の少ない旅をしたい」という意識も高まっています。
観光税は「その土地の未来に投資する」感覚で、ポジティブに捉える人も増えてきました。
■ こんな変化も?
- 「ちゃんと使ってくれるなら払ってもいい」
- 「税金があるなら、その分現地の体験が良くなっていて欲しい」
- 「観光客としてのマナーをより意識するきっかけになる」
観光税は旅行者にとっても「自分の旅がどう地域に影響するか」を考えるきっかけになりそうですね。
🌿 観光地と共存する未来のカギ
結局、観光税の導入が成功するかどうかは、地元・観光客・自治体の三者が同じ方向を向けるかどうかにかかっています。
■ 持続可能な観光モデルへの期待
- 地域住民の生活と観光が無理なく両立できる仕組みづくり
- 透明な税収の使い道の公表とフィードバック
- 観光客自身も地域社会の一員として関わる
これからの旅は、「安く・楽しく」だけじゃなく、「どう関わるか」「どう残すか」が問われる時代になっていきそうです。
✨ まとめ
観光税は「単なるコスト増」ではなく、「観光地との未来への投資」と考えると、ちょっと前向きに見えてきませんか?
その一歩をどう踏み出すか、観光客も、地域も、行政も、みんなが一緒に考えていくことが大切です。