バリ島の滝は、写真で見るだけでも心が洗われるような美しさがあります。
旅の途中でふらっと立ち寄ったり、水に触れて涼んだり、
“自然の中でリラックスしたい”という気持ちは、多くの旅行者が抱くものです。
しかし一方で、
「滝って本当に安全なのかな…?」
「自然の水場って、危険はないの?」
と、心のどこかで不安がよぎる人もいるのではないでしょうか。
そんな矢先、2025年11月にバリ島北部のメンゲニング滝で、
15歳の少年が溺れ、命を落とすという痛ましい事故が起きました。
このニュースを知って、
「楽しみにしていた滝巡りが少し怖くなった」
「自分の旅でも同じことが起こりうるの?」
と感じた方もいるかもしれません。
この記事では、その事故の内容を丁寧に振り返りながら、
「私たち旅行者が自然の中でどう安全を守ればいいのか」
を、できるだけ分かりやすく、そして不安を抱える人の気持ちに寄り添いながらまとめました。
あなたのバリ旅行が、
“美しい滝を楽しみながら、安全にも気を配れる旅” になるよう、
一緒に学んでいきましょう。
事故の概要 ― 何が起きたのか
2025年11月20日。
バリ島北部ブレレン県にあるメンゲニング滝(Air Terjun Mengening)を訪れていた
Gede Angga Putra Pratama さん(15歳) は、友人2人と一緒に滝つぼ付近で水遊びをしていました。
当時、3人は岸から少し離れた場所まで入水していたとされています。
しかし、遊んでいる最中に突然、強い流れに巻き込まれたのか、
Gede さんだけが滝つぼの奥へと引き込まれてしまい、姿が見えなくなりました。
他の2人はなんとか岸へ戻ることができたものの、
友人の姿が見当たらないことに気づき、その場は一気に騒然とした雰囲気に包まれます。
近くにいた村人や家族にもすぐに知らせが入り、
現地のPerbekel(村長)を通じて、午後13時40分頃、
バサルナス・バリ(Basarnas Bali:インドネシアの捜索救助機関)に正式な救助要請が届けられました。
1日目の捜索 ― 水中カメラやダイバーも苦戦
通報を受けた救助隊は、7名のSARスタッフを現場へ派遣。
滝つぼ周辺を中心に捜索が始まりました。
1日目の捜索では
- アクアアイ(水中カメラ)の投入
- 深さ約6メートルまでの潜水捜索
と、本格的な救助活動が行われましたが、
水は濁っており、流れも強く、視界はほとんど確保できなかったため、
この日は発見に至りませんでした。
現場は「非常に水量が重く、濁流が強い」という報告があり、
通常の水中捜索が難航する悪条件が重なっていました。
2日目の捜索 ― 手探りの捜索の末に発見
迎えた翌21日。
SARチームは日の出とともに捜索を再開しました。
視界が確保しづらい状況は続いていたものの、
「滝つぼ付近に沈んでいる可能性が高い」と判断した救助隊は、
手作業で滝壺の水中を探る“手動捜索”に切り替えます。
午前9時45分、捜索再開直後。
滝つぼの深部を探索していた隊員が、
水面下約1メートルの地点で、ついにGede さんの身体を確認しました。
彼は発見後、慎重に引き上げられ、岸へ搬送されました。
待ち続けていた家族は泣き崩れながら彼を迎え、周囲には深い悲しみが広がりました。
村・警察・救助隊が総動員の大規模捜索
今回の捜索には、
- バサルナス・バリ
- バリ州警察
- クブタンバハン地区の警察・軍(バビンサ)
- BPBD(災害管理局)
- 地元の救助団体
- 村人と家族
など、多くの機関と地域住民が協力し、合計数十名規模の体制で行われました。
自然の中で起きた事故とはいえ、
地域ぐるみの全力の救助活動だったことが、現地ニュースからも伝わってきます。
観光客・地元住民を問わず、自然は予測不可能
この事故は、観光客だけでなく、
地元の若者でさえ予測できない危険が自然には潜んでいる
という現実を強く示すものとなりました。
「滝は静かで穏やかに見えても、水面下では強い渦や流れが生まれている」
そんな、写真やSNSでは伝わらない一面が、今回の悲劇の背景にあります。
捜索の経緯と困難 ― なぜ発見に時間がかかったのか
Gede さんが行方不明になった直後から、バサルナス・バリは迅速に現場へ向かい、
滝つぼ周辺を中心に捜索を開始しました。しかし、初日の捜索は想像以上に困難なものでした。
現地の状況は“最悪に近い条件”が重なっていたのです。
水中の視界はわずか1メートル
ニュースによれば、滝つぼの水は濁っており、
水中でライトを照らしても、手を伸ばした先すらはっきり見えない状態だったとのこと。
この視界の悪さは、
水中カメラ(アクアアイ)やダイバーでの捜索をほぼ無力化しました。
水量が多く、“非常に重い”滝の流れ
メンゲニング滝は普段から落差と水量が強めの滝ですが、
事故当日はさらに水量が増しており、落ちてくる水圧も強く、
潜水捜索に大きなリスクを伴いました。
水の勢いが強いと、
- 流れに逆らって泳げない
- 水中で身体が思わぬ方向に引っ張られる
- 渦や深みに巻き込まれる
などの危険が増します。
救助隊員でさえ近づくのが難しかったことが分かります。
機材が役に立たないため、最終的に“手探り”へ
この状況を受け、翌21日の捜索では、
シュノーケリングの技術と、隊員の手作業による捜索に切り替えられました。
午前9時45分に捜索が再開され、
そこから約1時間後、
水面下1メートルの位置で遺体が発見されました。
水中での視界も限られ、流れも強い状況では、
“触れて見つける”という方法が最も確実だったのです。
この一連の流れからも、
自然の水場での事故がどれほど発見困難かが伝わってきます。
背景 ― なぜこのような事故が起きたのか
今回の事故は、決して特別なシチュエーションではありません。
地元の青年でさえ予期できなかった“自然ならではの落とし穴”が、
悲劇を引き起こした可能性があります。
“ただの水遊び”のつもりが、滝つぼ特有の急流へ
当時の彼らは、友人と一緒に水浴びをしていただけで、
激しい遊びをしていたわけではありません。
しかし滝つぼには、外からは見えない
- 急に深くなる場所
- 底から巻き上がる渦
- 水圧の強い流れ
などが存在します。
特に濁った水では、足元の深さや流れの変化に気付くことができません。
「急に足がつかなくなった」
「引っ張られるように流された」
こうしたケースは、滝や渓流では珍しくありません。
安全標識があっても、慣れや油断で見落としがち
地元民であっても、いつもの滝だからこその“慣れ”が発生します。
観光客も「みんな遊んでいるから大丈夫だろう」と油断しがち。
実際、自然の中では
1秒前まで安全に見えた場所でも、状況が一瞬で変わることがあります。
滝つぼの水量・流れは天候や前日の雨量で大きく変わるため、
安全標識だけでは判断が難しい場面も多いのです。
教訓と注意点 ― 旅ブログとして伝えたい大切なこと
バリ島の滝は美しく、癒やしの時間をくれます。
しかし、今回の事故は「自然を前にしたときの基本的な安全意識」の重要さを教えてくれました。
以下は、旅行者が“滝や川で遊ぶ前に必ず知っておきたい”ポイントです。
1)濁っている日は絶対に深場に入らない
濁った水は、
- 足元の深さ
- 流れの強さ
- 水中の地形
が全く分かりません。
濁り=危険のサインです。
2)水量が多い・滝の勢いが強い日は近づかない
水量が増えると、滝つぼの渦や吸い込みが強くなります。
前日が雨の場合は特に注意が必要です。
3)滝つぼの中心には絶対に近づかない
滝つぼは“ただの深い水溜まり”ではありません。
落下する水の勢いで、底がえぐれて深くなりやすく、
水流の渦も強くなります。
泳ぎが得意な人でもコントロールを失います。
4)一人で水辺に入らない(必ず複数人で)
同行者がいることで、
- 異変の早期発見
- すぐに通報
などが可能になります。
5)「大丈夫そう」ではなく「やめておく」の勇気を
自然を前にしたとき、
少しでも不安に感じたら引くことが最大の安全対策。
“判断を先送りにしない”ことが命を守ります。
6)現地のスタッフ・ガイドのアドバイスは必ず聞く
滝の状態を一番知っているのは、
その場所を日々見ている地元の人々です。
「今日は危険だよ」の一言は、何より信頼できます。
この事故は悲しい出来事ですが、
私たち旅行者に
「自然は美しいけれど、同時に予測不能」
という大切な教訓を与えてくれました。
あなたの旅が安全で、そして心から楽しめるものになるよう、
こうした情報を知っておくことが何よりの備えになります。
バリ島旅行者へ ― 安全に旅を楽しむために
バリの滝や川は本当に美しく、非日常を味わえる特別な場所。
でも、自然の美しさには“危険と隣り合わせ”という側面があります。
今回の事故は、
「十分に気をつけていても、自然は予測できない」
という教訓を残しました。
あなたのバリ旅行が、ワクワクと癒しに満ち、そして安全な思い出となるように――
ぜひ、この記事で紹介したポイントを心に留めておいてください。

最後まで読んでくれてありがとう。
次の記事でお会いしましょう。
またねー。💛




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