現地状況と雨期に入ったインドネシアで気をつけたいこと
インドネシアでまた深刻な災害が発生してしまいました。
中ジャワ州で豪雨による大規模な地滑りが起こり、30人が死亡、20人以上が行方不明 と発表されています。
ニュースを見て「旅行は大丈夫?」「今インドネシアにいるけど心配…」と感じた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
最新の被害状況・現地の救助体制・雨期の災害リスク・旅行者が取るべき安全対策
をやさしく、分かりやすくまとめました。
インドネシア旅行を予定している方も、在住者の方も、ぜひ参考にしてください。
中ジャワ州で発生した地滑りの概要
インドネシア中ジャワ州では、11月13日と15日の2回にわたり大規模な地滑りが発生しました。
どちらも数日にわたる豪雨が原因で、山の斜面が急激に崩れ、多くの家屋や人々を巻き込んでしまいました。
今回の災害は単発的な現象ではなく、
「雨期に入ったインドネシア特有の地盤の弱さと、連日の豪雨が重なった複合災害」
と言われています。
連続発生した地滑り ―それぞれの地域で何が起きたのか?
13日:チラチャップ県での崩落
チラチャップ県では、雨が断続的に降り続いたことで地盤が著しく弱まり、山の斜面が広範囲で崩落しました。
- 集落に近い斜面が崩れ、住宅を直撃
- 一部エリアでは道路が完全に塞がれ、救助隊の到達が遅れた
- 土砂が川に流れ込み、周辺地域の浸水リスクも増大
チラチャップは沿岸部に近いため、降った雨が山側から海に流れにくく、地盤にたまりやすい特徴があります。そのため、短期間の豪雨でも土砂災害に発展しやすい地域です。
15日:バンジャルヌガラ県でさらなる大規模崩落
続く15日には、バンジャルヌガラ県でさらに深刻な地滑りが発生しました。
この地域は山岳地帯が多く、土壌も比較的粘性が低いため、雨を吸うと崩れやすい特性があります。
- 約50棟の家屋が土砂にのまれる・流失
- 住民が眠っている時間帯で、避難が間に合わなかったケースも多数
- 道路が寸断され、重機の搬入が困難に
- 被害が広範囲に及び、900人以上が避難生活に
バンジャルヌガラは過去にも地滑り被害が多く、政府も「インドネシアの中でも特にリスクが高い地域」として注意を呼びかけていたほどです。
豪雨が数日続いたことによる“土壌の限界状態”
中ジャワ州全域で共通していたのが、
「豪雨が1日ではなく数日間続いた」 という点です。
雨が続くとどうなるか?
- 土壌がスポンジのように水を吸収
- 一定量を超えると粘りが失われ、踏ん張れなくなる
- 小さな斜面でも一気に崩れ落ちる危険が高まる
今回の災害も、
降雨 → 土壌の飽和 → 斜面の耐久力低下 → 崩壊
という典型的な地滑りのメカニズムによって引き起こされました。
特にバンジャルヌガラでは、地質が風化しやすい場所が多く、農地開発で樹木が伐採されていたエリアもあったため、安定性が低くなっていた可能性も指摘されています。
死者30人・不明20人超の深刻な被害
インドネシア国家災害対策庁(BNPB)は、
「行方不明者が多く、今後探索が進むにつれて死亡者数が増える恐れが高い」
と危機感を示しています。
現地の捜索は以下のような課題を抱えています:
- 土砂が深い場所では数メートル以上に積み重なっている
- 家屋ごと押し流され、位置が特定できない
- 雨が止まず“追加の崩落”が続く可能性
- 重機が入りにくい山間地形
そのため、救助隊は安全を確保しながら慎重に捜索を進めており、作業速度はどうしてもゆっくりにならざるを得ません。
地元の住民の中には、家族の安否の分からないまま避難所で待つ人も多く、精神的にも非常に厳しい状況が続いています。
に死者数が増える恐れがある」
と発表しており、現地は非常に厳しい状況が続いています。
救助活動の現状

災害直後から、インドネシア政府は大規模な体制で救助活動を開始しました。
警察・軍を含む700人体制で捜索
現地には警察、軍、消防、メディックなどが投入され、
人海戦術で捜索が行われています。
二次災害の恐れで捜索難航
- 雨が止まない
- 地盤が緩んだ状態が続く
- 追加の地滑りが起こる可能性が高い
このため、救助隊も安全を確認しながら慎重に進めており、時間がかかっています。
バリ島でも9月に豪雨で18人が死亡
―雨期のインドネシアでは“どこでも災害が起きうる”という現実
今回の地滑り災害は中ジャワ州で起きましたが、
実は バリ島でも2024年9月に豪雨による洪水・土砂災害で18人が亡くなっています。
「バリ島は観光地だから安全なのでは?」
と考える方も多いですが、そうとは限りません。
バリ島は山岳地帯も多く、
“海と山が近い地形” のため、強い雨が降ると一気に土砂が流れ込み、川が氾濫するリスクがあります。
バリ島9月の豪雨災害の特徴
- 道路が数十カ所で崩落
- 川沿いの村で家屋が流される
- 橋が破損し、地域が孤立
- 観光地周辺でも道路冠水・停電が発生
と、観光客が利用する主要道路を含めて被害が広がりました。
特にバリでは、スミニャック・ウブド・レギャンなど人気エリアでも道路冠水が頻発しており、
「雨が降ると通れなくなる道」
が珍しくありません。
そのため、旅行者の移動にも大きな影響が出ることがあります。
インドネシア全土で「雨が降れば災害が起きる可能性がある」と考えるべき理由
インドネシアは美しい自然に恵まれていますが、同時に
“地盤が弱く、豪雨に非常に弱い国” でもあります。
その背景には、以下の5つの理由があります。
① 火山が多い“火山帯の島国”で土壌が崩れやすい
インドネシアは環太平洋火山帯の真上に位置しています。
そのため、火山が作った 火山灰質の土壌(ポーラス土壌) が多く、
水を含むと急激に崩れやすくなる特徴があります。
この火山灰質の土壌は、
- 一度乾いているとサラサラ
- 水を吸い込むとドロドロ
- 斜面では耐久性が著しく低下
という“変化しやすい性質”を持っており、地滑りの原因になりやすいのです。
② 急傾斜の山が多く、雨水が一気に流れ込む
インドネシアは火山島が多いため、日本と同じく山が多い国です。
しかし、日本と違うのは、
- 急傾斜の山が住宅街の近くに迫っている
- 流れ込む場所の排水インフラが弱い
という点です。
そのため、雨が強く降るとわずか数十分で川が氾濫 することも珍しくありません。
③ 都市部の排水インフラが整っていない
ジャカルタやデンパサール(バリ島)など都市部であっても、
- 排水路が詰まりやすい
- 雨水が行き場を失う
- ゴミ問題で水が流れない
といった課題を抱えています。
特に雨季の始まりは、
乾季の間に溜まった落ち葉・砂・ゴミが排水口を塞ぐ
ため、より冠水が起きやすい状態になっています。
④ 森林伐採や農業開発による“保水力の低下”
インドネシアでは、
- 茶畑・野菜畑の開発
- パーム農園の拡大
- 住宅開発による森林伐採
が進んでおり、山が持つ保水力が落ちている地域もあります。
斜面から水が急激に流れ込むようになり、
「昔より災害が増えた」
と地元の人が感じる理由のひとつです。
⑤ 気候変動による豪雨の激化
近年、インドネシア全土で「短時間に降る雨の量」が増えており、
- 雨が“スコール”レベルではなく“豪雨”になる
- 数時間で1ヶ月分の雨が降る地域も
- 雨期入りが年によって変動し、予測が難しくなっている
という気象の変化が確認されています。
このため、災害がどこでも起こりうる という状況になっているのです。
旅行者が知っておくべき安全対策
インドネシア旅行を控えている方は、
「旅行中に災害に巻き込まれないか?」
と心配になると思います。
以下は、旅行者が実際に気をつけるべきポイントです。
① 山間部や川沿いのエリアは天気に注意
- 雨が数日続いている
- 道路が冠水している
- 山道を移動する予定がある
といった場合は、目的地の再検討 をおすすめします。
② ガイド・ホテルスタッフの声はきちんと聞く
現地の人は、天候や危険な地域への感覚がとても正確です。
「今日はやめたほうがいい」
と言われたら素直に従う方が安全です。
③ 最新情報を常に確認する
以下が信頼できる情報源です:
- インドネシア国家災害対策庁(BNPB)
- 在インドネシア日本大使館
- Googleマップの交通情報(道路閉鎖がわかる)
- 現地ホテルのスタッフ
④ バリ島など主要観光地は通常通り
今回の地滑りは中ジャワ州で発生しています。
バリ島、ジャカルタ、ジョグジャカルタなど主要観光地は通常通りで、現時点では大きな影響は出ていません。
とはいえ、雨期であることは変わりませんので、雨具やスケジュール調整は大切です。
まとめ:雨期のインドネシアでは最新情報が命綱
今回の中ジャワ州の地滑りは、インドネシアの雨期がもたらす自然災害の深刻さを改めて示すものとなりました。
- 豪雨で地盤が緩む
- 地滑りや洪水が発生しやすい
- 救助活動も天候次第で進まない
という状況は、今後も続く可能性があります。
旅行者にできる最大の防御は「最新情報を常に確認すること」。
危険があるときは無理をせず、旅程を柔軟に変える勇気も大切です。
どうか、これから旅行される方も、現地に滞在中の方も、安全に過ごせますように。

最後まで読んでくれてありがとう。
次の記事でお会いしましょう。
またねー。💛






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