バリ島を訪れた人の多くが口にするのが、
「なんだか他の国とは空気が違う」 という言葉。
同じインドネシアにある島なのに、
バリ島だけ独自の世界観が流れ、街中にも神々への祈りが満ちています。
その理由こそが、バリ・ヒンドゥー文化。
この記事では、旅行者にも分かりやすく
“バリらしさの正体” を丁寧に紹介します。
バリ島の宗教はなぜ特別?
インドネシアの人口の約9割はイスラム教徒ですが、
バリ島だけは約90%以上がヒンドゥー教徒。
ただし、バリの人々が信仰するのは
「バリ・ヒンドゥー教(アガマ・ヒンドゥー・ダルマ)」 と呼ばれる独自の宗教。
これがバリ島の世界観の中心であり、
料理、建築、儀式、踊り、生活リズムにまで影響を与えています。
バリ・ヒンドゥーは“神々と自然と先祖”の調和がテーマ
バリの宗教観を一言で表すなら、
「すべてのものに魂が宿り、調和の上で生きる」
という考え方。
● 神々(善)
● ブトゥ(悪の存在・自然の力)
● 先祖
これらがバランスを保ち世界が成り立つという思想です。
バリの人々は、
「善が悪を倒す」のではなく、
「悪の力を鎮め、良い状態を保つ」ことを重視します。
だからこそ、
バリ島は“争わず、調和を大切にする”文化が根付いているのです。

日本の和を重んじる調和を大切にする共通点がありますよね。
毎日見られる供物「チャナン・サリ」
バリ島で街を歩くと、
どこにでも置かれている小さな籠のようなもの。
それが チャナン・サリ(Canang Sari)、
神々への感謝と祈りを込めた“毎日の供物”です。
- 葉っぱで編んだ小さなかご
- 色の違う花(方角の神を象徴)
- お香
- 食べ物やお金が添えられることも
これらを毎日捧げることで、
家・お店・道路を守り、気持ちを整える意味があります。
観光客が気をつけたいのは、
✖ 踏まない
✖ 蹴らない
✖ 写真を近距離から無断で撮らない
という点だけ。
“あぁ、今日も祈りを捧げているんだな”と、
そっと通り過ぎるのがマナーです。
バリの祈りの作法「三度の祈り」
寺院や自宅での祈りは、
- 左手に花を持つ
- 両手を合わせて額へ
- お香の煙に包まれながら祈る
という流れ。
祈りは静かで、穏やかで、
そこにただいるだけで心が落ち着くような空気感があります。
家の中にも“神聖ゾーン”がある:家寺(スメル)
バリの一般家庭には必ずと言っていいほど
「家寺(スメル)」 と呼ばれる祈りの場があります。
- 家の敷地内の最も高い位置(山側=カジャ)
- 先祖や神々を祀る
- 家庭のイベント(誕生・結婚・儀式)をここで行う
バリでは “家は家族だけの場所ではなく、先祖も共に暮らす場所” という考え方が根付いています。
ガムラン・舞踊も宗教と深くつながっている
バリの舞踊(レゴン、ケチャ、バロンダンスなど)は
単なる「ショー」ではなく、もともとは 神々へ捧げる儀式。
特に代表的なのが、
● バロンダンス
善(バロン)と悪(ランダ)が争い続けるストーリー
→ 善が勝つのではなく、調和し共存するという結末が特徴。
● ケチャ(トランスダンス)
大勢の男性が「チャッ、チャッ」と唱えながら踊る
→ 悪霊払い・治癒の儀式がルーツ。
文化鑑賞として楽しむのはもちろん、
その背後の宗教的意味を知るとさらに味わい深くなります。
バリの伝統行事:ヒンドゥー暦「サカ暦」で動く
バリ島では、西暦ではなく 独自のサカ暦 に基づいて行事が決まります。
代表的な行事は以下のとおり。
ニュピ(静寂の日)
島全体が丸一日“停止”する特別な日。
外出禁止・電気禁止・空港閉鎖。
旅行者もホテルに滞在したまま過ごします。
ニュピ(静寂の日):2026/3/19 (木)
ガルンガン & クニンガン
先祖の霊が帰ってくるお盆のような行事。
道に竹飾り(ペンジョール)が並び、バリらしさ最高潮。
2026年 バリ島のガルンガン・クニンガン
| 祭礼名 | 2026年の日程 | 曜日 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ガルンガン | 2026年6月17日 | 金曜日 | バリヒンドゥー教における「先祖の霊を迎える日」 |
| クニンガン | 2026年6月27日 | 月曜日 | ガルンガンから10日後、「先祖の霊を見送る日」 |
メルスティ(海の浄化儀式)、オダラン(寺院祭)
海の神への祈りや、寺院の誕生日を祝う行事。
白と黄色の伝統衣装を着た人々に出会えます。
観光客が知っておくと喜ばれるマナー
バリ・ヒンドゥー文化を尊重するために、旅行者が守るべきポイントはこちら。
✔ 寺院では露出を控え、サロンを巻く
✔ 頭は神聖な場所なので触らない(子どもでもNG)
✔ 儀式の最中を無断で撮影しない
✔ チャナン・サリ(供物)は踏まない
✔ ペンジョールを引っ張ったり触らない
✔ ドローン撮影は許可必須の場所が多い
ほんの少し意識するだけで、バリの人にとても喜ばれます。
なぜバリはこんなにも“落ち着く”のか?
多くの旅行者が
「バリに来ると心が穏やかになる」
と感じる理由は、おそらくこれです。
- 毎日の祈り
- 調和を大切にする思想
- 自然や先祖に敬意を払う生活
- 儀式が日常に溶け込んでいる
- “悪”すら否定せず共存する世界観
これらが島全体の空気をつくり、
訪れた人にも不思議と安心感を与えてくれます。
まとめ:バリの魅力の根源は“祈りの文化”
バリ島の魅力はビーチやホテルだけではありません。
- 挨拶も祈りから
- 家も祈りの場
- 料理も供物と関係
- 舞踊も祈りの儀式から発展
生活のすべてが神々とつながっている。
それが バリ・ヒンドゥー文化 の本質です。
バリ島を知るほど、
「旅行先」ではなく
「また帰ってきたくなる場所」になるはず。

最後まで読んでくれてありがとう。
次の記事でお会いしましょう。
またねー。💛








コメント